太良町町勢要覧
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有明海では広く海苔の養殖が行われています。太良町の海苔養殖は昭和30年代に始まり、私は父の跡を継いで海へ行くようになりました。 大きな筑後川と嘉瀬川が流れる有明海の東部地区に比べ、こちらの西部地区は川幅が狭くて栄養分も少量。立派な機械をどんどん導入していく東部地区の生産者を見て「あんな機械を買える日が来るだろうか」と思ったほどです。今は私たちも新しい機械を導入し、地理的な弱点を逆手に取って塩気のある旨い海苔を生産して好評を得ています。有明海の海苔の旨さは、干満の差を利用して海苔網を干出させることで生まれます。それにはこまめな管理が大切です。昔、先輩方から「毎日海に行って海苔を見て会話しろ。して欲しいことを海苔が教えてくれる」と言われました。今その言葉を私の跡を継いでくれた娘婿に話し、一緒に「売れる海苔づくり」に励んでいます。海苔との会話から生まれる「旨い海苔」 平成13年度に漁業組合で試験養殖をすることになり、10戸で竹軸イカダを用意して養殖を始めました。太良町沖はもともと「シカメガキ」が獲れたところですし、カキの成育が期待できました。その後カキは順調に成育し、平成17年度には全戸で100トンを超える収量に。平成18年には垂下式のイカダができて養殖戸数も2倍に増えています。竹崎カキは他より成育が早く、5〜6月に種付けをして11月に水揚げできます。水揚げしたら貝毒検査などをして出荷しています。今後は昔獲れた「シカメガキ」を養殖し、ブランド化できないかと考えています。 水揚げがほぼ安定しているとはいえ温暖化で海況は変化しており、不安はあります。若い頃、海にはカキ礁がたくさんあり、貝や魚の宝庫となっていました。今、カキ礁が減っているのが魚介の減少の一因ではないかと思います。貝を砕いて海にまくといったさまざまな工夫が必要でしょう。太良町で魚介が捕れれば出稼ぎにいく漁師が減り、地域は活性化します。カキ養殖は新規産業で、課題はまだまだありますが、ルールを決めながら切磋琢磨し、美味しいカキを育てて地域の活況に役に立ちたいと思います。待永正敏さん待永正敏さん峰松 弘さん峰松 弘さんカキ養殖達人達人海苔養殖達人達人試験養殖を経てまちの産業に成長15

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